【2021年4月1日より総額表示が義務化となります】飲食店のメニュー、店頭の総額表示はお済みですか?

浦西

MEDIYライターの浦西です。早いもので今年も残すところあと2ヶ月となりました。ここからは冬と年末に向かって一直線! と言いたいところですが、その前に・・・

飲食店のみなさん、「総額表示」の準備は万端でしょうか?

消費税における総額表示の”特例”が2021331日に終了!

そして、2021年4月1日より「総額表示が義務化」となります!

 

一体何のこと?となった方もご安心ください。まだ間に合います。

まず、1年前のことを思い出してください! 201910月に消費税率は10%になりました。

この時、レジの税率設定変更、メニュー表の変更、プライスカードの変更等で一時バタバタされたことと思います。とはいえ、総額表示の特例により、税抜き価格のみの表示でも、注釈として「※価格は税抜きです」などと表示していれば許されていたので、なんとか凌げたお店さんも多いのではないでしょうか?

そんな特例が2021年の3月31日で終了となります。現状のメニューの価格表示を再度ご確認ください。税抜価格のみ表記+注釈のままではありませんか?
総額を表示されていないお店様!
どのように変更したらいいのか? わかりやすく解説いたしますので、ぜひ最後までお読みください。

まだ5ヶ月あると思っている方、そんなの一瞬です!そろそろ準備を始めなければ、またまた大変なことになりますよ!!

総額表示義務とは

総額表示義務とは、事業者が消費者に対してあらかじめ価格を表示する場合に、消費税額(地方消費税額を含む。)を含めた価格(税込価格)を表示することを義務付けるものです。

対象となる表示媒体

● 値札、商品陳列棚、店内表示、商品カタログ等への価格表示

● 商品のパッケージなどへ印字、あるいは貼付した価格表示

● 新聞折込広告、ダイレクトメールなどにより配布するチラシ

● 新聞、雑誌、テレビ、インターネットホームページ、電子メール等の媒体を利用した広告

● メニュー、ポスター、看板など

消費者に対しての価格表示であれば、それがどのような表示媒体によるかを問わず、総額表示が義務付けられます。※口頭による価格の提示は含まれません。

つまり、お店側は、
「消費税を含む総額を、お客さんに分かりやすく表示しなければいけない!」
という義務があるのです。

総額表示義務はなぜ必要か?

「税抜価格表示」では、レジで請求されるまで最終的にいくら払えばいいのか分かりにくく、「税抜表示」と「税込表示」が混在してると価格の比較がしづらいといった状況が生じてしまいます。このような状況を解消するために消費者が値札などを見れば消費税を含む支払総額が一目でわかるようにするために義務化されるのです。

総額表示の義務化が実施されることにより

いくら払えばその商品やサービスが購入できるか?値札や広告を見ただけで簡単にわかる!

価格比較も容易になる!

参照:国税庁「総額表示」の義務付け

総額表示義務の特例とは?

消費税引き上げと同時に総額表示を義務化してしまうと、お店(事業者)は短期間で価格表示を変更しなければならず、コストや手間がかかりすぎてしまいますよね。
そのような理由で、お店さんに円滑で適正な値札の変更、作り変えをしていただくための猶予期間として、令和3年(2021年)331日までの間は、総額表示をしなくてもいいですよ!と言う特例が定められていたのです。

これにより「表示価格が税込価格であると誤認されないような表示※下記参照」がされていれば税抜価格のみの表示などを行うことが許されていました。

現状の表示例

※令和3年4月1日以降はNG
誤認防止措置の具体例

今まで(2021年3月31日まで)は上記の表示の仕方でOKでしたが、4月1日以降はこの表記ではNGになります。では今後はどのように変更したらいいのか? 国税庁が定める具体的な表示例を元にご説明いたします。

どんな総額表示をしたらいいの?

国税庁が定める、具体的な表示例

支払総額である「11,000円」さえ表示されていればよく、「消費税額等」や「税抜価格」が表示されていても構いません。

ポイント! こちらも「総額表示」に該当します。

例えば「10,000円(税込11,000円)」とされた表示も、消費税額を含んだ価格が明瞭に表示されていれば「総額表示」に該当します。なお、総額表示に伴い税込価格の設定を行う場合において、1円未満の端数が生じるときには、その端数を四捨五入、切捨て又は切上げのいずれの方法により処理しても差し支えありません。

選択肢が意外と多いです。結局どのような表示が一番適しているのか?迷ってしまいますね。そこでメニューデザイン研究所が考える、一番おすすめな表示方法をご紹介いたします。

メニューデザイン研究所の見解

メニューデザイン研究所では、飲食店に来店される「お客様にとって一番分かりやすい表示」価格も比較しやすく、お会計で意外と高い?などと誤解のない表示、ストレスなく飲食を楽しんでいただけるために、ベストな表記方法を2つおすすめいたします!
おすすめ①
11,000円(税込) 
こちらの表示方法は、シンプルイズベスト!  誰が見ても一番分かりやすい表示です。飲食店さんのメニューは特に、スペースが限られていることもあり、少しでも短く表示したいですよね。紙面スペースが割けない時にも一番おすすめです。
おすすめ②
11,000円(税抜価格10,000円)
こちらは、少しスペースを要しますが、税込と税抜の両方表示されているのでとても親切で丁寧な見せ方です。宴会コースなどのメニューやポスターなど、紙面に余裕がある時はこちらもおすすめです。

《 テイクアウトの表示について 》

テイクアウトについて具体的な表示方法は3パターンあります。 

その①

テイクアウト(8%)と店内飲食(10%)の両方の税込価格を表示

両方記載することで、お客様はいくら払ったらいいのかが明確で、一番親切な表記方法と思われます。

その②

テイクアウト(8%)と店内飲食(10%)のどちらか片方だけの税込価格を表示

どちらか片方の税込価格のみを表示する方法も認められています。メインが店内飲食であれば、店内飲食の価格(価格が高い方)を表示し、テイクアウトの価格は異なると表示する方がスムーズかと思われます。

その③

テイクアウトも店内飲食も同じ税込価格で表示

商品の価格は、お店が自由に決めることができます。ですので、テイクアウトも店内飲食も同じ税込価格にすることが可能です。
例えば、テイ クアウトの税抜価格を高く設定、又は店内飲食の税抜価格を低く設定した上で、税込価格を表示する方法。ただし、お客様から聞かれた場合に「テイクアウトは包装コストを上乗せしている」など合理的な説明が必要となります。

例:
■店内飲食の場合は本体価格1,000円+消費税100円(10%)=1,100円
■テイクアウトの場合は本体価格1,019円+消費税81円(8%)=1,100

お客様にとっては、同じ税込価格なので分かりやすいというメリットがありますが、国に納める消費税を計算するためには、その商品が消費税率8%なのか、10%なのかを区別する必要があるので、お客様にテイクアウトか店内飲食かの意思確認をする必要があります。

メニューデザイン研究所では、テイクアウト併用されているお店の場合、

①テイクアウトと店内飲食の両方の税込価格を表示
(表記スペースがある場合、一目でわかる
表示方法)

②テイクアウトと店内飲食のどちらか片方だけの税込価格を表示
(表記スペースがない場合、テイクアウト価格は注釈での表示方法)

上記の表記方法2つをおすすめいたします。

※軽減税率制度については国税庁軽減税率制度をご確認ください。

注意事項

財務省HPより注意事項の一例をQ&Aでご紹介いたします。

Q1:「100円ショップ」などの看板は総額表示の対象になりますか?

A1:総額表示の義務付けは、消費者に対する値札、広告、カタログなどにおける価格表示を対象として、消費者がいくら支払えばその商品やサービスの提供を受けられるか、事前に、一目で分かるようにするためのものです。したがって、ご質問の「100円ショップ」などの看板は、お店の名称(屋号)と考えられるため、総額表示義務の対象には当たらないと考えます。
なお、いわゆる「100円ショップ」の店内における価格表示については、消費税額を含んだ支払総額を表示する必要があります。


Q2 :1万円均一セール」といった販売促進イベントなどの名称は総額表示の対象になりますか?

A2:考え方は前述と同様です。具体的な対応方法については、単に『総額表示義務違反となるか、ならないか。』という視点だけではなく、消費者からどのように受けとめられるか消費者に誤認を与えてトラブルの原因とならないかという点を十分に踏まえていただきたいと考えます。

最後に

いかがでしたでしょうか? まず、御社はどのような表示方法で統一するのか?という方針決定をしていただき、表示変更を進めてください。

テナント店舗に対しては、母体となる量販店のルールにより表記縛りがあるようです。それにより、数種の値札を作成しなければならない…という例もございます。

なお、総額表示義務の違反については罰則が定められておらず、違反した場合に消費税法違反で処罰されることはありませんが、お早めの総額表示のご準備をおすすめいたします。