スーパーの一角にズラリと並ぶから揚げにローストビーフ!そして、お好み焼きといった様々なお惣菜。
実はこれ、別々のお店の料理人たちがひとつの厨房で調理された料理なのです。
コロナ禍を生き抜くためにスーパーと飲食店とが手を取り合って生まれた新たなシェアキッチン「みんなのまちメシFACTORY」についてを紹介します。
「みんなのまちメシFACTORY」とは?
苦境に立つ“町の飲食店”を支えようと、広島県福山市のスーパー「エブリイ」が立ち上げたプロジェクトです。スーパーが飲食店に対し“調理場所”を提供することで、飲食店が作ったお総菜やお弁当を「エブリイ」で販売できる仕組みのことを言います。
立ち上げた背景とは?
コロナ禍による客足の激減は福山市も同様であり“町の飲食店”は危機的状況にありました。
福山市の鉄板焼き「十々」は、パリっとした食感の「府中焼き」が人気。しかし売り上げは3~4割ほど落ち込む状況に。
新たな販路を確保するために考えだされたのがシェアキッチンという発想でした。
販路拡大の障壁
飲食店が新たな販路を模索する中、営業許可を得るために障壁がありました。こうした状況下で「エブリイ」はこれまでに、出店エリアの無償提供や料理の店頭販売などを行い、地域の飲食店の支援策を講じてきましたが、各店舗で調理したものをスーパーの店頭で販売するには通常とは別の営業許可が必要なため、参加できる飲食店は限定されていました。 そこで「エブリイ」は、あらかじめ許可を得た調理場を用意することで福山市内の店舗で販売できる仕組みを作りました。
「営業許可をお金の問題でお持ちでない店、または設備投資の面でどうしても難しい方々も、こういった取り組みに共に参加をして、一緒に地域の食を豊かにするというところに進んでいける」と「エブリイ」松本幸士さん
三方良しで好循環なメリットが
飲食店は使用料を払えば参加でき、新たな営業許可を取る必要はなく、料理を作る場所と売る場所の2つを新たに確保できます。 「エブリイ」は、人気飲食店の味を販売することで新しい顧客の呼び込みができます。そして利用客は、地元の人気店の味が身近なスーパーで買うことができる。 それぞれにメリットがあります。
飲食店の反応は?
シェアキッチンで作られた料理はすぐにスーパーの店頭に運ばれます。新たな売り場に自店の商品が並ぶのを見て興奮を隠しきれない十々の田中店長。
利用客の反応は?
迎えたオープン初日ではスーパーに並んだ“地元店の味”に興味津々の様子の利用客の姿が。また購入されたお客様からは「おいしそうだなと思って買った。飲食店にみんな行けていないので、お店も大変。ここで手軽に買えたらいいですよね」と反応は上々。
今後の「みんなのまちメシFACTORY」は?
現在は13店舗の商品が並んでいますが、今月中には 20店舗30種類に増える予定です。 スーパーと飲食店の挑戦は始まったばかりですがですが、地域に根ざした共創は今までにない付加価値を帯びていくのではないかと思います。三方良しの取り組みにこれからも目が離せません。
本記事はHOME広島ホームテレビさんの特集より引用させて頂いたものです。
【特集】なぜ?スーパーに“飲食店の味”ずらり “壁”を壊す新たなアイデア