自粛規制が解けついに営業再開に踏み出した飲食店業界ですが、第二波への警戒は色濃く、普段通りの活動とまでは至っていません。
withコロナの新しい世界が構築されつつある今、飲食店には何が求められているのか?6月1日にテイクアウトサービスを開始した、大阪府堺市の飲食店ワイン酒場かっちゃんを取材した。
宴会や女子会に最適なコースが豊富。リピート率80%本格石窯ピッツァをワンコインで味わえるオシャレなワイン酒場で地元から愛されるイタリアン酒場。
取材先:ワイン酒場 かっちゃん 店長 谷口様
聞き手:メニューデザイン研究所 MEDIYライター 山崎
山崎:テイクアウトサービスを始めた理由は何ですか?
谷口店長:コロナ前には近隣の企業で働かれている方々に接待の場として広くご利用頂けていました。しかしコロナ禍では今までのような大人数での会食ができないため、そういった方々にご自宅でも“かっちゃん呑み”ができないかと考え既存のメニューでテイクアウトサービスをしようと思いました。
山崎:導入にあたり注意されたことは何ですか?
谷口店長:スタッフのアルコール消毒やマスクの着用や検温などの衛生面です。このお店はオープンキッチンを採用しているためスタッフの動きが一目瞭然です。お客自身の目で確認できることが安心感につながっていたと思いますがテイクアウトだとそれができません。衛生面には今まで以上に注意していますがお店にとってもお客さんにとってももどかしい点だと思います。
山崎:安全性を伝える上でどのようなことをされていますか?
谷口店長:イートインが再開したことを受けてまずは客席を半分に減らしお客さん同士の距離を保つようにしました。またスピーディーな配膳ができるようにカウンターキッチンには予め食器を置いていましたが今ではラップをかけています。ご予約席には前もっておしぼりや食器もセットしていましたが、今では来店されてからお出しするようにしています。
山崎:テイクアウトサービス導入にあたり工夫されたことは何ですか?
谷口店長:テイクアウト商品の前提にできあがりを召し上がっていただけないというハンデがあります。そこにどうやってテイクアウトの価値を付けられるかと考えたときに、ボトルワインを買って頂くことでボトルワインの値段だけで本格的なピザが一緒に食べられるということを商品化させました。
谷口店長:ピザの直径が30㎝あってかなり大きいサイズですがこれが1コインでご提供しています。泉州エリアではこの店だけしか飲めない樽生ワインがあるのでその強みを活かすために提携の酒屋さんに協力してもらいテイクアウト商品として販売もしています。
山崎:テイクアウトサービス開始日の反響はどうでしたか?
谷口店長:翌日にオードブルのテイクアウトをご注文頂きましたが一般で来店されたお客様とのオペレーションと重なってしまいお渡し時間を当初15分とお伝えしていましたが結果的に30分もかかってしまいました。
オープンの時間と重なったということと、不慣れなオペレーションということもありますが優先順位の付け方までできていなかったというのが正直な感想です。
山崎:テイクアウトサービスの予約はどうされていますか?
谷口店長:サービスをスタートさせてまだ2日ということもありますが看板や窓での告知に留まっています。オードブルの件を引き合いに出せば電話予約があってもよいかと思いました。
山崎:今後テイクアウトサービスの宣伝告知はどうされていくのですか?
谷口店長:今後はスタッフが登場する自作の動画をぐるなびやホットペッパーで配信していく予定です。ただしSNSの活用は考えていません。動画の配信頻度を保証できないのが理由です。こちらの勢いだけであげてしまうのはお客様にとってかえって不信感を抱かせてしまうと思うからです。
山崎:テイクアウトサービスは続けられる予定ですか?
谷口店長:今年いっぱいは続ける予定です。状況によって変わることもあるかもしれませんが。
インタビューを終えてみて
自粛期間という苦しい状況の中で営業再開に向けた様々な工夫が見て取ることができました。テイクアウト需要に過度な期待を持たず自店の強みを注ぐことで新たなサービスを生み出されている印象を強く感じました。やってみたからこそ分かる課題も多いですが今年いっぱいは継続します!という谷口店長からの力強いお言葉を受け、私達も引き続きテイクアウトサービスの動向を追いかけます。第2弾は7月中旬を予定しております。
取材協力店舗
ワイン酒場かっちゃん
大阪府泉佐野市上町3-8-25
HP:https://r.gnavi.co.jp/nf9kwn5c0000/